令和3年9月30日をもって全都道府県で緊急事態宣言が解除されました。しかし、人が集まることは集団感染に繋がる可能性があるとして、「3密」の回避は求められているところです。
ところで、法事といえば、まさに全国から親族が集まる場。そういう法事は、どのような工夫の下、行われているのでしょうか。少し前ですが、オンラインを利用して法事を開催している、東京都世田谷区梅丘にある【別院 満足院】にお話を伺わせていただきました。
■【別院 満足院】さんとは
【別院 満足院】さんは、大正14年に開設された、世田谷区梅丘にある浄土真宗の寺院です。住宅街にありますが、コンクリートと檜材からなる本堂は、周囲になじんでいますね。
また、境内には大きな納骨堂を設けています。地域の方のほか多くの方に利用されており、近年、拡張工事が行われて広がりました。
■オンラインならでは法事
満足院のご住職・二條和順さんは、コロナ禍では法事にも変化が現れたといいます。
これまで、法事といえば、親戚一同がお寺に集まって行ってきました。しかし、コロナ禍では、県をまたぐ移動等が制限されていたこともあり、親戚一同が集まることは困難でした。そこで、満足院ではZoomを用いることで、法事を主催される方が遠方の親戚を招き、これまでどおり法事を行うことができたとのことです。遠くは、北海道から出席される方もいらっしゃったとか。
法事の出席者は、年配者が多いこともあり、オンラインを対面と併用することで、法事に出席するハードルが下がります。コロナ禍で始められたオンラインを活用した法事は、法事自体への参加のハードルも下げたようです。
■葬儀をオンラインで行うことの難しさ
では、法事ではなく、葬儀自体もオンラインで行うのでしょうか?これについて、二條ご住職は、葬儀はオンラインでは行わないと語られていました。葬儀は、故人を偲ぶ場でもあると同時に、大切な人を失った悲しみを同じ気持ちを持つ方々と分かち合うことで、遺された方々の悲しみを和らげ、気持ちの整理のためにも必要な場でもあります。
残された方々の気持ちが和らぐのは、その場の空気を皆さんで共有するからですが、オンラインでは、この「場の空気」を共有することが難しい。そのため、満足院では、葬儀を敢えてオンラインで行うことはしていないとのことでした。
■取材を終えて
オンラインは、地方の方も気軽に葬儀や法事に参加できるツールになり得ると思っていましたが、葬儀のもつ意味を考えたとき、オンラインを活用する場面を敢えて制限するお話に、オンラインの限界を感じました。私も仕事でオンライン会議システムを用いることがありますが、やはり対面の場合と伝わり方が違うと感じていましたので、ご住職のお話をとても説得的に感じました。